花粉症について
花粉症、今年は例年ほどじゃないみたいですけど、マスク率高しです。私は幸い「まだ」罹っていないので、毎年びくびくしています。
花粉症に悩む妊婦さんも多いです。まあ、主治医の先生に聞いてもらえばいいだけの話しなのですが、私の回答は比較的シンプル。
「点鼻薬とか、目薬なら何を使ってもらっても構いません。」です。
基本的に、薬の考え方として「患部に直接使う薬はなら成分を気にしなくて良い」っていうのがあります。例えば虫刺されの塗り薬とか、(よく聞かれる)歯医者さんでうける歯茎の麻酔とか、目薬とか、痔の時の座薬とか。患部、つまり“薬を効かせたい所にダイレクトに使える薬”というのは、使ったところに薬が留まるようにできています。薬がそこからどこかに行っちゃったら意味無いですよね?だからそこ(患部)から遠い赤ちゃんには薬は届きません(届くとしても超微量)。
爪に塗ったマニキュアの赤ちゃんへの影響を気にする人はいません。ファンデだってシャンプーだって大丈夫です。それは「局所」にしか付かないからです。同じこと。
一方で、飲み薬や注射というのは血液に溶かす→血流に載せて患部まで運ぶ薬です(ドラックデリバリーシステム、DDSと言います)。血液に溶かした段階で、胎盤にも薬が届く可能性がでてきます。なのでまあ、一応成分とか気にしちゃったりするんですが、局所投与ならば基本的に成分を気にせずに使えるということなのです。
一応添付文書には色々書いてありますが、それに従ったら使える薬なんてありません。日本では全ての薬に妊婦さんが不安になるような事が添付文書に書いてあるものなのです。
どうしても飲み薬を使いたいというのであれば、漢方薬や古くからある抗アレルギー剤などは使用経験が豊富なので問題ありません。新しい薬がNGになっているのは、別に赤ちゃんに影響があるからNGなのではなくて、使用経験が浅くまだ未知だからなので、妊娠に気づかずに飲んでしまったからと言って青ざめる必要はありません。
もしとても心配だということであれば、国立成育医療センターに「妊娠と薬情報センター」という部門があるので、そちらで相談されると良いでしょう。
新しい病院に勤務して約2ヶ月経ちました。
少しずつ、職場のやり方に慣れてきました。
そんな環境なので、今回は、いつもとはちょっと違う真面目な(?)お話です。
医療、特に産科に関しては、施設によって方針にすごく違いがあります。
妊娠・出産というのは「病気」ではないので、原則は予防医療です。症状が出る前に、異常を早めに検知して早く対応するのが妊婦健診の目的です。そして、基本自費なので妊婦さんを集めるためにサービスも考えなければいけません。
ですから、どこからを「異常」とするのか?どこまで手を出す(介入、といいます)のか?というのは病院の規模、ベッドの数、スタッフの数、ポリシー、妊婦さんのニーズ、トップの意向などでずいぶん違うものなのです。
体重ひとつ取っても厳しい施設や甘い施設がありますし、同じ病院でもあるDrには気にしないでいいよといわれたのに他のDrや助産師さんには怒られた、なんて話もよく聞きます。絶対的な正解はないんです。分娩の進行がゆっくりの場合、どこまで粘るのか?(帝王切開するのか?)の判断も、施設によって違ったりします。
ですから、新しい病院に勤務する時は、「(検査の値で)いくつから貧血として鉄剤だしてます?」「この程度のケースって入院させてます?」なんて最初は他のDrに聞きながら、その病院の基準を把握するのです。(あ、もちろん「明らかに異常」という場合は即刻判断がつきますから迷いはありません。微妙なケースの場合です。)
複数の弁護士さんが事例の判定をするテレビ番組でも、弁護士さんによって色々な判断があって意見が対立したりしますよね?でも、ケースによって全員一致することもあります。それと同じで、医者なら全員一致する場面もあるし、医者の数だけ色々な考えややり方がある場面もあるのです。
私のブログは(医療記事も)ま、私個人の医学的知識に基づいた私見ですので、そのつもりで読んでいただけたらと思います。ネットの口コミも、そんなつもりで利用してください。病気の種類によって、受け取る患者さんの性格によって先生の「良し悪し」って変わるんです。学校の先生や、美容師さんも同じですよね。
1人のDrに言われても、他のDrの意見を聞くと違うかもしれないのです(それをセカンドオピニオンと言います)。何だかこの先生の考え方や話し方は合わないな~と思ったら、(可能な環境なら)主治医を変える事だってアリだと思います。相性ってありますから。「誰にとっても良い先生」っていないと思うんですよ、実際。
面白いもので、何人かDrがいて、基本的に主治医制の病院だと「××さん(妊婦さん)って、いかにも○○先生(担当の妊婦さん)っぽいね~」という共通キャラが出てきます。恐らく○○先生と相性の良いキャラが自然に集まるのだと思います。
なので、振り分ける助産師さんも「それっぽい」人が初診で来ると「○○先生の外来」を紹介したりするようです。
・・・今思うと、私もそうされていたのかな?
長い妊婦生活ですし、健診の回数も馬鹿になりません。せっかくなので相性のいい先生と過ごせるとお互いにストレスが少ないと思います。
今回はちょっと真面目な事を書いてみました。次回からはもうちょっとゆるい内容にしようかな、と思っています。今回の医療記事は「花粉症について」です。
では、お大事にどーぞ。
この季節になると、妊婦健診で「風邪引いちゃいました」と言われることが多いです。
妊婦さんは「風邪を引きやすく、治りにくい」のが特徴です。それまで風邪を引いても普通の生活で何となく治ってしまっていた人も、妊娠中はそうもいきません。ずるずると一ヶ月近く症状が長引くこともザラです。何故なのでしょう?
【妊娠と免疫】
風 邪を治すのは薬ではありません。体の中の「免疫」という自衛隊システムが風邪のウィルスを退治してくれて治っていきます。この自衛隊の役目は、ざっくり言 うと「自分」と「自分じゃない」ものを見分けて「自分じゃない」と判断したらそれを排除するというシステムです。(この場合、「自分じゃない他人」とは ウィルス、細菌などです)
さて、“胎児”は「自分」でしょうか?「自分じゃない」でしょうか・・?そうですね。自分じゃありません。従って、この自衛隊にとって、胎児は「排除すべき他人」ということになります。
しかし、正常な妊娠の場合、胎児は排除されずにお腹の中で育っていきます(このプロセスがうまくいかないと、不育症や習慣性流産などの病態になります。ここでは長くなるので省略します)。
それは妊娠を契機に、自衛隊が「他人に対する攻撃力」を弱めてくれたお陰なのです。
し かし、それはウィルスや細菌と戦う時にはマイナスになります。「妊娠中は抵抗力や免疫力が下がる」のは「胎児のために“他人を排除する力”を抑えている」 からなのです。新型インフルエンザ騒ぎのとき、妊婦さんが最優先でワクチン接種の対象となったのを覚えていますか?それはこういう理由からなのです。
【では、どうやって風邪を治すの?】
こ こに書いたように、妊娠中は免疫力が下がっています。その状態で風邪ウィルスと戦うためには、ただひとつ。「よく眠ること」。これに尽きます。睡眠は免疫 力をアップさせます。長くて良質な睡眠により、自衛隊はゆっくり集中して戦うことができるので、鈍った攻撃力をカバーできるのです。
【風邪薬を飲んでもいいの?】
風邪薬という名称から「風邪を治す」には「薬」というイメージがあるようですが、現在「風邪を治す薬」というものはありません。風邪の時に飲む薬というのは「咳き込んで眠れない」「
鼻 が詰まって起きちゃう」という人のために“症状を和らげて眠れるようにする”薬なのです。テレビでよく見かける市販の総合感冒薬の箱には必ず「風邪の諸症 状の緩和に」と書いてあります。風邪ウィルスをやっつける薬ではなく、諸症状を緩和するのが目的の薬なのです。(インフルエンザのタミフルは感冒薬ではあ りません)
で すから薬を飲んでも「これで安心」とばかりにいつもどおりの夜更かし、寝不足、激務、暴飲暴食・・では何も変わらず、風邪は治りません。つまり薬を飲むの か、飲まないのか?という問いは妊娠の有無とは関係なく「眠れない辛い症状があるなら症状に合わせて薬を服用する」「眠れそうなら睡眠を優先する」と考え てください。食欲が無い場合は、無理に食事をすることはむしろマイナスです。水分のみ補給して、しっかりと眠ってください。(ぐっすりと眠れなくても布団 に入ってうつらうつらするだけで違います)
【だって薬は飲まないほうがいいのでしょう?】
ひ どい症状にも関わらず、我慢して我慢して・・・気管支炎や肺炎を合併してしまったら結局もっと強い抗生物質などで戦う必要がでてきます。しかももっとひど くなり、戦闘が長引いて大きな戦争(炎症といいます)になってしまうと、自衛隊が「このまま戦闘力を下げていたら自分が危ない」と戦闘力を元に戻そうとし ます。その結果、胎児が攻撃され体外に出されてしまう・・・そうです。流産や早産につながることだってあるのです。薬を飲まずに我慢することが胎児のため とは限りません。必要な薬はちゃんと飲みましょう。
【最後に】
風邪は万病の元といいます。まずは予防。手洗いとうがいはしっかりと(イソジンガーグルはヨードの取りすぎにつながる可能性があるため使用しないこと。普通の水で十分です)。そしてひいてしまったら、早めに
①体を温める(風呂やねぎ・生姜などのスープとか)
②加湿する
③しっかり睡眠をとる
この3点を守れば、それほどこじれません。妊娠前の健康体を過信して、妊娠中の風邪を甘く見ないこと、薬さえ飲めば治ると錯覚しないようにしてください。
約3ヶ月のご無沙汰です。
自分のブログがアップされているのに気づかず、「いつになったら載るのかな~」なんてのんびり過ごしてました。もう始まっていたのですね!いやはやびっくり。
これからはもうちょっとこまめにアップしていきます。
今回の医療記事は「妊娠と風邪」についてです。今日の診察でも、上の子にうつされただの職場でもらっただのという風邪っぴき妊婦さんがたくさんいました。ご参考になればと思います。
さて。
2月から新しい職場に変わり、新たな気分で頑張ろうとこぶしを握っている池谷ですが、不肖わたくし、プライベートでは数々の事件からオッチョコチョイだの、思い込みが過ぎるなどと不本意な評価を下されています。
しかあし!そんな私も白衣を着ればあら不思議。ゴルゴのように鋭い目つきと正確さで診察し始めるのです。白衣ってスゴイ。
・・・って前フリが済んだところで、今回のブログは妊婦さんの服装についてです。 前回がネイルでしたから、ちょっとつながりがありますね。
ファッションですから。基本的には好きな格好してもらって構いません。
ただ、妊婦健診のときは、やれお腹を出せだの、下着を脱げだの、靴脱いでここに上がれ、だのいろんな指示がでます。そのときにややこしいベルトをしていたり、サロペット(古い言葉ではオーバーオール)だったり、編み上げのブーツだの履いていると、着脱にやたらと時間がかかるんです。
マタニティウェアにありがちな、Aラインのゆるゆるチュニックにレギンス(もしくは妊婦用のボトムス)ってそういう意味では最強です(色々好みはあると思いますが)。
ぱっぱって軽やかに着脱ができたり、お腹もすぐに丸出しできますから。下着を脱いでから内診台までの距離があるときも(バスタオルなどで隠すとしても)チュニックのお陰でお尻丸出しの心細い気持ちにならずに済みます。ただでさえ、冬場は厚着で時間がかかるものなので、混雑を避ける意味でもご協力いただけると嬉しいです。
下着は乳房が大きくなったり乳首が敏感になったりする人もいるので、適当なところで早めにマタニティ仕様のものにするといいでしょう。20週を越えて妊婦健診でサイドがヒモになってる蛍光色のとか総レースの下着を喰い込ませながら着用している妊婦さんを診た時は、平気そうなフリをしていますが、「おおっ」と内心驚きます。それでどうこう、って事は無いんですけどね。多くの妊婦さんはゆったりパンツを履いています。ご参考までに。
靴といえば、ヒールを愛用する人も多いですが、妊婦さんは骨盤が前傾していますので、ヒールによってよけい前傾が強くなり、腰痛がひどくなるケースがあります。ペタンコか3cm程度のゆるいものにしましょう。お腹が大きくなるとバランスが取りにくく、転びやすくなるので、ヒールの細いミュールなどは避けたほうが無難です。結構こける人、多いです。
余談ですが、結婚指輪が妊娠後期に指がむくんで抜けなくなることがあります。緊急手術のときに泣く泣くバチンと切断したこともあるので、あれ・・?と思ったら大切な指輪は早めに外して首にかけたりすることをお勧めします。
まだまだ書きたいことは山ほどあるのですが、本日はこのへんで。
ではまたお会いしましょう!
もうひとつのお勧めは、キシリトールガムです。北欧では妊婦の歯周病予防のために使っていますが、キシリトールガムの包装紙には「お通じがゆるくなります」と書いてありますね?歯周病予防と便秘対策、一石二鳥ですので是非試してみてください。
初めまして。Dr.池谷です。